第20章 若様は三日三晩ひざまずいた

ICUの空気は、まるで固まってしまったみたいだった。

黒崎逸臣はその場で棒立ちになり、理解が追いつかない。

つい二日前まで、祖父は電話口でこう言っていたのだ。家のことをもっと気にかけろ、夏目霧子を大事にしろ、と。

なのに――ひと晩眠って目が覚めたら、世界がひっくり返っていた。

「おじい様……」

黒崎逸臣の声はかさついていた。「昨夜来なかったことで怒ってるとしても、そこまで……」

「黙れ!」

黒崎昌仁の胸が激しく上下し、モニターが甲高い警告音を鳴らす。

「昨夜だと? よくも『昨夜』なんて口にできたな。昨夜、わしと霧子が食事をしている最中に、お前から電話がかかってきた」

黒崎逸...

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