第30章 産婦人科の検査報告書が必要です

夏目霧子は紙ナプキンを一枚ちぎり、口元の水滴を丁寧に拭った。

鏡の中には、水野菜々美の疑いに満ちた顔。霧子は鼻で笑う。

「考えすぎ。昼に変なもの食べただけ」

菜々美は動かない。霧子の下腹を凝視し、わずかな膨らみすら見逃すまいとしている。

夏目霧子はわざと背筋を伸ばし、身体のラインが出るタイトなオフィスワンピースの裾を整えた。

「まだ見足りないの? 産婦人科でも行く? 検査結果、コピーして一枚あげようか」

菜々美は視線を引っ込めたものの、内心では引っかかっている。

霧子の性格なら、もし黒崎逸臣の子を身ごもっていたら、こんなに平然としていられるはずがない。

検査票を握りしめて黒崎...

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