第43章 黒崎逸臣の逆ギレ

夏目霧子の身体が、一瞬、硬直した。指先がシーツの端をぎりぎりと握りつぶす。

「放して」

声を落として言った。

黒崎逸臣は放さない。むしろ腕をさらにきつく回し、彼女の身体を強引に胸へ引き寄せた。

「そこまで残酷になれるのか」

頭上から落ちてきた男の声は、沈んでいる。

「三年だぞ。三年の情を、お前は捨てるって言うのか。離婚まで持ち込まないと気が済まないのか」

夏目霧子は、思わず笑いが漏れた。腰に回された骨ばった手をほどこうと、力いっぱい指をこじ開けにかかる。だが、びくともしない。

「あんた、記憶でも飛んで、頭まで壊れた?」

背を向けたまま吐き捨てる。

「離婚を言い出してきたの...

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