第52章 晩餐会への強制出席

夏目霧子と菅田由実が食事を終え、エレベーターを降りたところで地下駐車場へ向かおうとした。

そのとき、黒いセダンが玄関の目の前に横づけされる。

ドアが開き、黒崎逸臣が長い脚でこちらへ歩いてきた。

オーダーメイドの黒いスーツ。背筋の伸びた体つきに、近寄りがたいほどの気品がまとわりつく。

「来い」

数歩で夏目霧子の前に立つなり、黒崎逸臣は彼女の手首を掴んだ。

夏目霧子は一度身をよじったが、びくともしない。

「放して」

冷えた目で睨み返す。

「何するつもり?」

「今夜、黒崎家の晩餐会がある」

低い声が腹に落ちる。

「新製品のプロモーションだ。黒崎家の若奥様として出席しろ」

...

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