第53章 チャリティオークションで父の遺品に出会う

晩餐会の進行はやけに早く、あっという間に今夜の目玉へと移った。

チャリティオークション。

夏目霧子は奥のボックス席に座り、目の前のホットミルクはすっかり冷め切っていた。壇上の書画や骨董にも、これっぽっちも興味が湧かない。ただ、この退屈な社交が一刻も早く終わってほしいだけだ。

オークショニアの声がスピーカー越しに会場へ響く。

「続いての出品は、希少なメンズウォッチです。開始価格は50万」

巨大スクリーンに、品物のアップが映し出された。

霧子は漫然と一瞥し――そのまま、息が止まった。

文字盤の縁に、ほんのわずかな擦り傷。位置も、深さも、ベルトの摩耗の仕方まで。胸がざわつくほど見覚え...

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