第61章 ホテルで部屋を取る

バーのボックス席で、菅田由実はテーブルに並んだ酒を三杯、立て続けにあおった。

グラスを置いた瞬間、胸の奥がぞわりと嫌な予感にざわめく。

胃の底に火種が落ちたみたいに、じわりと熱が広がり――次の瞬間には、四肢の先まで一気に駆け上がった。

由実は襟元を乱暴に引っ張る。頬はみるみる赤く染まり、呼吸が浅く速くなる。

氷水に手を伸ばした。だが手首がふにゃりと力を失い、指先が届かない。

向かいで足を組んでいた入江和彦が、酒を注ごうとして手を止める。眉をつり上げた。

「まだこれからだろ。もう潰れたのか?」

由実は歯を食いしばり、彼の肩を押した。声が甘く、宙に溶ける。

「……なんか、変……」...

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