第62章 浮気現場を押さえに行く

城南通りに面した高級ホテルのロビー。

エレベーター前は、十数社のカメラとマイクに塞がれ、身動きも取れないほどだった。

フラッシュがぱちぱちと弾け、記者たちは顔を寄せ合って、声を落として情報をすり合わせている。

「本当に黒崎家の若奥様なのか? 若い後継者の嫁って……」

「黒崎家のお嬢様が自分で流した話だぞ。外すわけないだろ。昨夜、男と一緒に入って、朝まで出てこなかったって」

「身内の醜聞を自分の手で晒して、あの女を手ぶらで追い出す気だな」

人だかりの中心で、黒崎雅美は10cmのヒールを鳴らし、顎を高く突き上げていた。

腕時計をちらりと見るたび、口元が抑えきれずに吊り上がる。

そ...

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