第64章 黒崎雅美に勘定をつける

部屋の中は、死んだみたいに静まり返った。

入江和彦は毛布を肩まで引き上げたままベッドに腰を下ろし、ぴたりと閉じたドアを見つめる。次いで、そこから一歩も動かない黒崎逸臣へ視線を移した。

乱れた髪を、さらにくしゃっと掻き上げる。

「……追わねぇのか?」

入江和彦が眉をつり上げる。

「義姉さん、今回は本気だぞ。あの勢い、マジでキレてる」

黒崎逸臣は顎のラインをぎゅっと固め、苛立ちを隠しもしないままネクタイを引きちぎるように外してソファへ投げた。

「追ってどうすんだ」

鼻で笑い、吐き捨てる。

「黒崎雅美が勝手に暴走して、全部水野菜々美のせいだって言い張ってるだけだろ。あいつ、普段大...

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