第70章 帰って家を見てみる

夏目霧子は眉をひそめた。――そんな話、信じられるはずがない。

黒崎逸臣が、彼女のためにそんなことをするだろうか。

霧子は自嘲気味に、ふっと笑った。

入江和彦はレモンティーをもうひと口すすり、霧子が黙り込んだのを見るとカップを置いて身を乗り出した。

「義姉さん、信じないなら今から連れてく。中、何も動かしてない。子どもの頃のガラクタまで残ってる」

夏目霧子は信じられないという顔で見上げる。

「……鍵、持ってるの?」

「そりゃ持ってる。家、俺名義だし」

入江和彦は当然のように鍵束を取り出し、目の前でじゃらりと揺らした。

「行く? 行かない?」

夏目霧子はもう迷わなかった。椅子を...

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