第75章 追突された

翌日、世論はさらに燃え上がっていた。

水野菜々美は会社で、丸一日息を殺すように過ごした。

コメント欄に並ぶ、夏目霧子を称える言葉。

それを一つ、また一つと指で滑らせていくたび、爪が掌に食い込みそうになる。

「1位は当然」

「本当に実力のある人ほど埋もれてたんだな」

どの一行も、平手で頬を叩かれているみたいだった。

定時が近づいた頃、夏目霧子が席を立って化粧室へ向かった。

水野菜々美は、ほとんど反射で後を追う。

廊下には人影がない。化粧室の中も、しんと静まり返っていた。

水野菜々美が扉を押して入ると、夏目霧子は洗面台の前で手を洗っていた。

「夏目霧子」

水野菜々美は入口...

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