第79章 お願いだから逸臣と離婚して

千野太鳳はデスクの前に立ち、あの書類を指先でつまんだまま、うつむいて黙り込んでいた。

背後の専員二人は、身じろぎもせず、気配を殺して、息をするのすら恐る恐るだった。

ただ、視線だけは何度もこっそり夏目霧子へ流れていた。

その夏目霧子は窓際に立ち、今にも自分を丸めて消えてしまいたい顔をしている。

髪は少し乱れ、スカートの裾には擦れたような皺。口元のリップは半分以上崩れていた。

どう見ても、隠したつもりで隠しきれていない。

千野太鳳は咳払いをひとつして、できるだけ平静な声を作った。

「夏目さん、ええと……当社には社内人材インセンティブ制度がございます。今回のイラストコンテスト金賞は...

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