第84章 一緒に食事をする

黒崎逸臣は彼女のその様子を見て、もう少しからかってやろうと思った。――そのとき、階段のほうから足音が響き、腹の底から通る黒崎昌仁の声が重なった。

「逸臣、霧子、来てたのか。よしよし!」

黒崎昌仁は手すりに手を添えて降りてくると、ダイニングにいる二人を見つけて歩みを明らかに速めた。

夏目霧子はちょうど振り返って黒崎逸臣と言い合っていて、昌仁が目の前まで来ていることに気づかない。

黒崎逸臣が軽く彼女を引く。そこでようやく霧子は我に返り、慌てて頭を下げた。

「おじい様」

黒崎昌仁の視線が二人の間をひと回りする。

夏目霧子の頬にはまだ笑みが残っていて、黒崎逸臣はその隣に立ち、手を自然に...

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