第9章 逆転、陥れられる

夏目霧子は、全身の芯からぞくぞくと冷えた。

水野菜々美が、ここまで手を回していたなんて。

たとえ犯されなくても、この悪辣なやり方で――自分を殺せる。

「逸臣……信じてくれる?」

夏目霧子は男の袖を掴んだ。

黒崎逸臣は、そのスマホを睨みつけたまま、頬の筋肉を強張らせて黙っている。

「――芝居は終わりだ!」

入口から、怒鳴り声が叩きつけられた。

黒いスーツの男が大股で入ってくる。怒気で顔を歪めた、水野菜々美の異母兄水野誠だった。

水野誠は夏目霧子の目前まで詰め寄り、手を振り上げる。

黒崎逸臣が一歩で割って入り、手首を掴んで止めた。低い声。

「何をする」

「何をするだと?」...

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