第91章 解釈

黒崎逸臣はアクセルを踏み抜いたまま、ひたすら飛ばした。

赤信号もろくに止まらない。二十分の道のりを、無理やり十分で走り切る。

車が停まりきる前にドアを開け、階段を駆け上がった。

部屋は真っ暗だった。

カーテンは閉め切られ、リビングのソファに置かれたクッションは、昨日の朝、彼女が整えたままの形でそこにある。

「夏目霧子?」

返事はない。

黒崎逸臣は寝室へ足早に向かい、ドアを押し開けた瞬間――動きが止まった。

クローゼットの扉が半分開いている。中が、妙に空っぽだ。

きっちり並んで掛けられていた彼女のワンピースが、何着も消えている。

洗面台に並んでいたスキンケア一式も、跡形もな...

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