第94章 水野菜々美を解雇する

水野菜々美は怒りで気が狂いそうだった。田村麗子の去っていく背中を睨みつけ、奥歯をぎり、と噛みしめる。

警備員が手を緩め、無線機を取ろうとした隙を突いて、彼女は身を翻し、そのまま中へ駆け込んだ。

背後から声が飛ぶ。

「水野さん! 水野さん、上はダメです!」

構うものか。菜々美は非常階段へ飛び込み、息もつかずに駆け上がった。

――

社長室。

黒崎逸臣はデスクの奥に座り、各部署の責任者がずらりと並んでいる。空気は鉛みたいに重く、誰も余計な息をしたがらない。

数人がまだ話し終えないうちに、扉が外から乱暴に押し開けられた。

一斉に視線が向く。

入口に立っていたのは水野菜々美だった。...

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