第112章 公平のため、キスし返していいよ

ナタリー視点

背後で誰が何をひそひそ言っているのか、知りたくもない。知ったところで、今の私には必要ない。

私は振り返ってグラントを席に戻そうとした。けれど口を開くより早く、エルヴィンの視線が私を射抜いた。

冷たく、真面目で、冗談の欠片もない目。

「ナタリー、来い」

ぱちり、と瞬きをする。

え、何? 私、何もしてないんだけど!

エルヴィンはもう立ち上がっていた。選択肢なんてない。私は渋々、後を追う。

ライアンも立ち上がりかけた。顔には不安がありありと浮かんでいる。だがエルヴィンが鋭く睨みつけた瞬間、ライアンはびくっとして椅子に落ちた。

「デイヴィスさん、怖がらせないでください...

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