第52章 彼女が「はい」と言いさえすれば

マイルズ視点

両親は蒼白になって駆け寄り、刃物を取り上げようとした。だがレヴィは、一瞥すらくれない。そのまま背を向け、外へ出ていく。

理由はわかっている。この手の芝居は、このところ何度も繰り返されてきたからだ。

レヴィの両親も席を立ち、重い顔のまま後を追った。

死をちらつかせてもレヴィを引き留められないと知ったリリアンは、泣き叫ぶ。

「戻ってくるわ! レヴィ! あなた、絶対に後悔するんだから……!」

どうにかリリアンをなだめたあと、俺は秘書を連れてレヴィを追いかけた。

「レヴィ」

声を落とす。まだ店内には、聞き耳を立てている連中が大勢いる。

「わかってるか。こんな形で出てい...

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