第62章 先に嘘をついた者

レヴィ視点

ずっと昔――俺とナタリーが、まだ互いを愛していた頃。俺はよく、こうして彼女を抱いた。あの頃の彼女は、俺の腕の中が安全だと信じてくれていた。あの頃の俺は、彼女に触れる資格が……まだ、あった。

熱くて、醜い涙がナタリーの髪を濡らし、鎖骨を伝って流れていく。

肩が大きく上下し、奥歯を噛みしめすぎた顎がじんと痛む。それでも、止められない。

体中の細胞が狂ったみたいに叫ぶ。もっと強く抱きしめろ。唇を重ねろ。何でもいい、もう一度――彼女を俺のものにしろ、と。

あまりに生々しい衝動に、拳が震えそうになる。

だが、俺は何者だ。

ナタリーを突き放したのは俺だ。リリアンを近づけて、...

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