第66章 ごめんなさい

ナタリー視点

「……もういい」

掠れた声。何かを必死に堪えているみたいだった。全身の筋肉が限界まで張り詰め、前腕の血管が皮膚の上にくっきり浮いている。

私は包帯を巻く手を止めた。使っていないガーゼが、まだ指の間に挟まったまま。

「もうすぐ終わります。痛かったですか?」

けれど、エルヴィンの表情は硬いまま、読み取れない。

彼は答える代わりに私の手首を掴み、彼の身体から引きはがした。

「ベッドを降りろ。残りは自分でやる」

その言い方が刺々しいと自覚したのか、彼はわずかに顔を逸らし、声をほんの少しだけ落とす。

「何か食うものを作れ。腹が減った」

――自分で作ればいいじゃない。

...

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