第69章 エルヴィンの恋人

ナタリー視点

あの、満面の笑みの絵文字。――それがエルヴィンという男の輪郭と並んだ瞬間、私は雷に打たれたみたいに固まった。

エルヴィンは笑わない。少なくとも、誰かに見せる形では。

それに、絵文字なんて使うはずがない。

――いったい何のつもり?

「行くぞ。オフィスだ」

エルヴィンは立ち上がり、何事もなかったようにエレベーターへ向かう。私とフレッチャーも、その背中を追って箱の中へ乗り込んだ。

密閉された空間。私は彼の広い背に視線を縫い付けたまま、頭の中で必死に繋げようとする。

冷酷で、計算ずくで、腹の底まで読めない社長。

その男がさっき、笑顔の絵文字つきで菓子の写真を投稿した―...

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