第77章 真夜中の伝説

ナタリー視点

エルヴィンは、ひと言も発さなかった。

私の顔から血の気が引く。

――やばい、やばい! 私、いま何て言った?

脱ぐ。脱ぐ、って?!

「デイヴィスさん、ほかに脱ぐものはありますか……」

彼、もうシャツとラフなパンツだけじゃない!?

本当は「ほかに何か言うことはありますか」と聞きたかっただけなのに、頭の片隅に「上着を脱ぐ」が残っていて、思考がぐしゃぐしゃになってしまった。

クローゼットの扉にわざと頭から突っ込んで気絶でもしようか、なんて考えた、その瞬間。

エルヴィンが、ふいに口を開いた。

しかも、やけに真面目に答える。

「いや。風邪をひく」

そして部屋を出てい...

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