第86章 エルヴィンと結婚しない限り

ナタリー視点

私たち四人はロビーに入り、そのままエレベーターへ向かった。

先にエルヴィンが歩き出す。マレーは一歩下がって振り返り、私とグラントに向けて、ほっとするような笑みを浮かべた。

「パスタ作ったんだ。二人とも上で食べていかない? ロブスターと黒トリュフ入り。三日煮込んだ特製ブイヨンに、野生キノコ。味はちゃんとしてるよ」

グラントと私は、いったんは手を振って断ろうとした。もう遅いし、話すこともある。

パスタくらい――まあ、いいか。

そう思った直後、マレーの言葉がじわっと遅れて胸に落ちてきた。

ロブスターに黒トリュフ。そんなものが入ったパスタを「くらい」で片づけるのは、さすが...

ログインして続きを読む