第89章 誘い出す

ナタリー視点

私は石みたいに固まったまま――そして、完全に崩れた。

五分後。私はレストランのテーブルに座っていた。中庭に面した静かなダイニングで、外の人工の小川がさらさらと鳴っているのが聞こえる。

向かいにはエルヴィン。淡々と注文を進めていた。

見た目だけは平静を装っている。けれど内側では、存在しない出口を必死に探していた。

寄りかかるべきじゃなかった。あんなふうに、しがみつくべきじゃなかった……!

「エビは食べる?」

彼が訊く。

「……食べます」

心臓が一拍、抜けた。遅れて、慌てて言葉を整える。

「カラメルプリンにする? それともパンナコッタ?」

「……両方――」

...

ログインして続きを読む