第97章 あなたが探している恋人は、あなたのそばにいる

ナタリー視点

彼女は言い切らなかった。

エルヴィンがこちらを振り返る。まるで答えなんて最初から分かっていて、私が自分で気づくのを待っているみたいに。

「きっと、誰にでもそう言ってるんだよ」

口にした声は、思ったよりずっと軽かった。

ヴェスペル夫人が、かすかに笑う。見透かしているのに、あえて暴かない年長者の微笑み。

「私は、私が見える人にしか言いません」

それきり彼女は私たちを見ず、机の下へ手を伸ばした。

エルヴィンの手が、私の手にそっと触れる。体温が私より高い。指先は力を込めず、ただそこに置かれているだけ。

「……ああ」

たった一音。でも、意味は分かった。

コールが小さ...

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