第122章 重婚は違法である

桜井恵那の心臓が、ドクリと嫌な音を立てた。ふと視線を向ければ、そこには綾瀬悠希の軽蔑しきった眼差しがあった。

「若葉ちゃん、お腹いっぱいになった?」

 綾瀬悠希は藤堂若葉を覗き込み、声音を和らげて尋ねる。

「うん、いっぱいだよ」

 藤堂若葉がこくりと頷く。

「じゃあ、遊びに行きましょうか」

 綾瀬悠希は立ち上がり、藤堂若葉の小さな手を引いた。そして、上座に座る藤堂家の御隠居様へと向き直る。

「ごゆっくりどうぞ。私は若葉ちゃんを連れて、少し外で遊んできますね」

 言うべきことは全て言った。藤堂家の御隠居様は聡明な人だ。彼女が何を伝えようとしたのか、理解できないはずがない。

 盗品...

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