第126章 会う必要はない

桜井からのメッセージを目にし、藤堂譲の胸中には今まで以上の苛立ちが募っていた。

 今日一日、桜井翔平からの連絡が鳴り止まない。金の無心だ。煩わしさのあまり、彼は一切の返信を絶っていた。

 まさか今度はその娘までが連絡を寄越し、しかも恥知らずにも「会いたい」などと提案してくるとは。この親子は揃いも揃って、金に狂っているとしか思えない。

「暇はない」

 この桜井という女の本性を知ってしまった今、藤堂譲はスマホ越しに言葉を交わすことすら吐き気がするほどだった。

 かつてはこの結婚に幻想を抱いたこともあった。だが今、その幻想は無惨にも打ち砕かれ、彼の中にこの女への期待など欠片も残っていない。...

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