第128章 まさか彼女が私の選んだ孫の嫁だったとは

藤堂譲は、藤堂家の御隠居様――祖母と目を合わせることを避け、何事もなかったかのように立ち上がり、部屋を出ようとした。

だが、この家の影の支配者たる彼女が、そう易々と逃がしてくれるはずもない。

「待ちなんし、この泥棒猫! それ以上動いたら警察を呼ぶよ!」

「祖母さん」譲は観念したように振り返った。「まずは休んでくれ。邪魔したな」

「邪魔しておいて何を言うか。……で、私の部屋に何の用だい? まさか私の私物に興味があるわけじゃあるまい」

こうなっては、譲も正直に話すしかなかった。

「……祖母さん。俺の物を返してもらいに来ただけだ」

「何のことだ?」

「婚姻届だ。あれは俺の物だ。俺自身...

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