第133章 断じて嫉妬ではない

スマホの画面に映るその写真は、ピントが甘く、単なる横顔のシルエットに過ぎなかった。だが、綾瀬悠希にはそれが藤堂譲であると一目でわかってしまった。

(チッ。出張だなんて言っておいて、ちゃっかり美人とデートかよ)

 嘘つき、と心の中で毒づく。

 桜井恵那は、綾瀬悠希の顔に悲痛な色が浮かぶのを期待して、執拗に視線を送っていた。しかし、綾瀬悠希は最初から最後まで、凪いだ湖面のように平然としている。

 それどころか、彼女はふっと余裕の笑みさえ浮かべてみせた。

「捨てられたも何も、そもそも付き合ってないし。それに、彼が松坂さんに渡した手土産だって、私が選んであげたものよ」

 白鳥秀美が焦った様...

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