第137章 返品はしない

綾瀬悠希は、不意に虚を突かれたように狼狽した。

「わ、私、もう帰ります……」

 気にしていないつもりだった。だが、藤堂譲に図星を指されて初めて、自分が本気で怒っていたことに気づく。羞恥と怒りが入り混じり、彼女はその場から逃げ出そうとした。

 だが、藤堂譲はその手首を掴んで離さない。

「『歓律』の連中が、また君に酷いことを言ったのか? 大丈夫だ。事の発端は俺にある。責任は最後まで取るつもりだ」

 綾瀬悠希は「ふふ」と、どこか冷めた笑みを漏らす。

「藤堂さん。前回の件は感謝しています。でも、今後は無用です。自分の身くらい、自分で守れますから」

「そういう意味じゃ……」

「分かってますよ」

...

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