第140章 叱られた上に金を払う

「え?」

 綾瀬悠希は首を巡らせ、桜井翔平を見やった。そこでようやく、彼が確かに一通の書類を手にしていることに気づく。

 まさか望月恒がこんな手を打ってくるとは。他のことならいざ知らず、こればかりは拒絶しようがない。

「また後でかけるわ」

 そう言って、悠希は通話を切った。彼女は桜井翔平を問い詰める。

「今の、どうして株式譲渡の話をしなかったの?」

「言う隙なんてなかっただろう。それに、お前があんなふうに望月恒を罵倒するからだぞ。金を出してくれるかどうか、怪しくなったじゃないか」

 桜井翔平は戦々恐々としていた。悠希の胆力がこれほどとは……まさか望月恒に対して、あんな口がきけるな...

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