第181章 あなたはその幸せな女性になりたいか

なぜ望月恒は、私が酒好きだと知っているのか。

その事実を知る者はダニエルだけ。後になって楠本南と藤堂譲にも知られたが、少なくとも桜井家の人間は誰も知らないはずだ。

ならば望月恒は、一体どこからその情報を仕入れたというのか。

「はい」と家政婦の咲子は頷いた。「旦那様が仰っていました。酒棚のお酒はすべて奥様のためのものだと。気が向いた時にご自由にどうぞ、なくなればまた買い足すとのことです」

酒飲みとしての性(さが)か、引っ越してきた当初から綾瀬悠希はそれらのボトルに目をつけていた。

それどころか、一瓶ずつラベルを詳細にチェック済みだ。どれも値の張る銘酒ばかりで、最も安いものでも数十万円は...

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