第183章 狂気なら私が治せる

藤堂家のご隠居様が藤堂若葉を連れて去ったあと、藤堂譲は肺の底から重い息を吐き出した。

 一本の煙草を吸って昂った神経を鎮めると、彼は綾瀬悠希の携帯を鳴らした。

「綾瀬主任、俺の執務室まで来てくれ」

「藤堂社長、ご用件は何でしょうか? 今、手が離せないので電話ではだめですか」

 受話器越しの声に棘があるのを敏感に察知し、藤堂譲は唇を引き結んで眉をひそめた。

「俺のほうは手が空いている。そっちへ行く」

「だめです!」

 綾瀬悠希が慌てたように声を張り上げた。

「私が行きます、今すぐ行きますから!」

 ほどなくして、綾瀬悠希が社長室に姿を現した。藤堂譲は彼女にソファへ掛けるよう促し、自らもその対...

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