第184章 神仙のような日々

綾瀬悠希はふっと笑みをこぼした。言い訳はしない。楠本南が本気で怒っていないことを知っているからだ。

 彼女はワインセラーからボトルとグラスを二つ取り出し、琥珀色の液体を注ぐと、その一つを南に手渡した。

「ほら、乾杯しましょ。これでおあいこってことで」

 南は嬉しそうにグラスを受け取る。

「まあ、許してあげる。……ところでさ、このマンション、桜井さんのおばあさんが買ってくれたの?」

 南の記憶にある綾瀬悠希は、いつだって金欠だった。

 身に着けているもので高価な品など一つもなく、バッグさえデパートの無料配布品。以前乗っていた車だって、数十万円の値がつくかどうかという代物だったはずだ。

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