第19章 少しの代償

加藤美咲は藤堂家へと向かう道中にいた。

今日、彼女は仕事が終わるとわざわざ家に帰り、入念に化粧を施し、持っている中で一番高価な服に着替えてから、藤堂譲が迎えに来るのを家で待っていた。

昨夜、藤堂譲の補佐から電話があり、「蒼月」シリーズのイヤリングを持っているかと尋ねられたのだ。

その時、加藤美咲は少し戸惑ったが、すぐに「ええ、蒼月のイヤリングなら持っています。昨日も着けていましたわ」と認めた。

もともと、なぜ藤堂譲が急に会いたがっているのか分からなかったが、今なら理解できる。きっと彼女が着けていた蒼月のイヤリングを見て、その美的センスが非凡だと感じたに違いない。

このイヤリ...

ログインして続きを読む