第31章 宴会の招待状

藤堂譲は、綾瀬悠希と一緒にいるといつも心が安らぎ、無意識のうちに気分が良くなることに気づいていた。例えば、今のように。

「コホン」彼は招待状を一つ取り出し、綾瀬悠希に手渡した。「週末、家で晩餐会があるんだが、若葉ちゃんがお前を招待したいそうだ」

「私を? 場違いじゃないかしら」

名家の宴会は誰もが参加できるものではない。彼女のような身分では、皿洗いでもさせてもらうのが関の山だろう。それに、興味もなかった。

「場違いなことなんてない。若葉ちゃんがお前を招待したがってるんだ。お前が来ないなら自分も行かないとまで言っている」

そう言う藤堂譲の表情は、どこか不自然だった。

「えっと……...

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