第34章 何か他のことをしたくないのですか?

今、藤堂若葉の部屋にいる綾瀬悠希は後悔していた。ひどく後悔していた。

さっき、そのまま帰ればよかったのだ。それなのに、若葉の顔をもう一度見てから行こうという気持ちに駆られてしまった。だが、この時間に出て行けば、藤堂譲と鉢合わせてしまうのは確実だ。

いっそ、みんなが寝静まってからこっそり抜け出すべきか。

そう決心すると、綾瀬悠希は深夜までずっと藤堂若葉の部屋に留まり、そっとドアを開けて部屋を出た。

しかし、ドアを開けた瞬間、彼女は固まった。ドアの向かいの壁に、藤堂譲が寄りかかっていたのだ。

「綾瀬先生、今日はご苦労様でした。若葉ちゃんにこんなに遅くまで付き合ってくださって」

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