第36章 手に入らないなら壊してしまえ

しかし綾瀬悠希は、桜井夫妻の道徳観をあまりにも買いかぶりすぎていた。彼らは綾瀬悠希の問題には耳を貸さず、その目には桜井恵那しか映っていない。

「綾瀬悠希」桜井翔平は綾瀬悠希の鼻先を指差し、厲声で言い放った。「恵那ちゃんを傷つけるなと警告したはずだ。今すぐ彼女に謝れ。さもなくば、この桜井家から出ていけ!」

「桜井翔平!」桜井家の大奥様が彼の腕を叩き落とす。「もう一度悠々ちゃんを指差してみなさい!」

「母さん、あいつが恵那ちゃんをどんな目に遭わせたか見てくださいよ。恵那ちゃんこそが本当の孫娘なのに、どうしていつも綾瀬悠希の肩を持つんですか」桜井翔平は不満を漏らした。

「悠々ちゃんの肩を持っ...

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