第38章 魅力の発散を停止

綾瀬悠希の極めて質素な身なりから、彼女の背後にいるパトロンが投資をしていないことは明らかだった。

関口裕の目には、綾瀬悠希には芸能界への推薦の機会が欠けているだけのように映った。しかし彼の意に反し、綾瀬悠希はその申し出を断った。

「関口さん、お心遣いありがとうございます。でも、芸能界には興味ありませんので」

関口裕はがっかりした様子を隠せない。「それは残念だな」

綾瀬悠希は彼の言葉の裏を探る気にもなれず、言った。「あまり時間がないんです、関口さん。始めてください」

「はい」綾瀬悠希がそれ以上話したがらないのを見て、関口裕も空気を読んで口を閉ざした。

関口裕がメイクを終える...

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