第46章 俺の人に手を出すなんて

相手が自分を目当てに来たのだと悟り、綾瀬悠希はなんとか冷静さを保とうと努め、男の方を振り返った。

「どなたですか？」

「俺が誰かなんてどうでもいい。重要なのは、俺が綾瀬先生に一目惚れしたってことさ。わかるか？今夜いる女の中で、あんたが一番美しい。まったく、目が離せねえよ」

そう言いながら、男は綾瀬悠希ににじり寄ってくる。

全身から酒の匂いをぷんぷんさせ、卑猥な表情と欲望に満ちた眼差しを向けていた。

「あなたも晩餐会に参加されている方でしょう？それなりの身分の方とお見受けします。お互いみっともないことにならないよう、もう少しご自身の品位を重んじられた方がよろしいのでは？」

綾瀬悠...