第50章 彼女を消す

凌乐悠は桜井恵那に最大の敵と見なされていることなど知らなかったし、仮に知っていたとしても気にも留めなかっただろう。

桜井恵那と張り合うより、もっと有意義なことをする方が彼女は好きだった。

例えば、デザイン画を描いたり、ピアノの練習をしたり、それから、あの頃の過去を調べたり。

夜、彼女は自分の愛車で藤堂家へと向かった。

晩餐会の時に、凌乐悠は藤堂若葉に自分の車がとても可愛いと話していた。そのため、今日、藤堂若葉は早くから玄関で待っており、ピンク色の小さな車がやってくるのを見て、目を丸くした。

お父様の車とは違う。凌先生の車は丸っこくて可愛らしいだけでなく、綺麗なピンク色で、し...

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