第56章 恥ずかしい告白

「では、失礼します。綾瀬さん、ゆっくり休んでください。また時間がある時に顔を出します」

病室の気まずい雰囲気に耐え切れず、杉山遠は立ち上がって帰ろうとした。

綾瀬悠希が口を開くより先に、藤堂若葉が彼女の代わりに答える。

「さようなら。綾瀬さんのことは心配しないで。私とお父さんがそばにいるから。ね、お父さん?」

「……ああ」

藤堂若葉は挑発的に杉山遠を見つめる。その視線に、杉山遠は危うく息が詰まりそうになった。しかし、子供相手にむきになるわけにもいかず、悔しさを押し殺して病室を後にするしかなかった。

杉山遠が去っていくのを見て、藤堂若葉はまるで戦に勝った子ライオンのように...

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