第92章 確かに暴力的な傾向がある

職員室に入る前から、中の騒がしさは筒抜けだった。とりわけ一人の女性の金切り声は、鼓膜が破れそうなほどの音量だ。

「どこの子だろうと関係ないわ! うちの大事な息子に怪我をさせて、ただで済むと思わないでちょうだい!」

 綾瀬悠希がドアを開けると、楠本和也が怪我をした子供とその保護者を必死になだめていた。一方、藤堂若葉は部屋の隅で膝を抱えて座り込んでいる。

 見開かれた瞳はどこか茫然としていたが、怯えの色は微塵もない。それどころか、強烈な反骨心が宿っている。

 その健気な姿に、悠希の胸が締め付けられる。すぐさま駆け寄り、若葉を抱きしめて体のあちこちを確認した。

「大丈夫、若葉ちゃん? 怪我...

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