第10章 SHへ

病室に足を踏み入れた末永言葉は、ひと目でベッドの上の温水真雲を見つけた。

青白い顔。濡れたままの睫毛。ついさっきまで泣いていたのだと、すぐに分かる。

深沢承弦はベッド脇の椅子に腰かけ、入口に背を向けていた。

気配に気づき、振り返る。

その視線が末永言葉を捉え、さらに彼女の隣に立つ片桐景真へ移った瞬間、目の色がすっと沈んだ。

二人で来たのか。

膝の上に置かれていた手が、わずかに強く握られる。

片桐景真が一歩前へ出て、ベッドの上の温水真雲を見た。

「容体は」

「胃洗浄はした。まだ意識は戻ってない」

深沢承弦は立ち上がり、二人の前まで歩いてくる。

「医者の話じゃ、あと30分遅...

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