第100章

新谷音鈴には、理解できなかった。

けれど男の顔色を見てしまうと――それ以上、声が出ない。

同時に、胸の奥がじわりと痛んだ。

何年も会っていなかった身内が帰国した。迎えに来てほしいと頼むのは、そんなに非常識なの?

新谷音鈴は黙り込み、俯いた。

目の縁が、みるみる赤くなる。

それでも深沢承弦は彼女を避けるように通り過ぎ、ただ助手に言い捨てた。

「家まで送れ」

助手は嫌な予感しかしなかった。――自分も巻き添えで終わる。

実際、空港では音鈴様を無事に拾えた。

だが「迎えが深沢承弦じゃない」と分かった瞬間、新谷音鈴はその場で爆発した。

深沢承弦がどこにいるのか吐けと迫られ、逃げ道...

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