第102章

退院してからというもの、末永言葉は一見、仕事に全力で打ち込んでいるように見えた。

けれどほとんど毎晩、彼女は夢の中で――子どもの訴えを聞かされる。

どうして守れなかったの。

どうして母親なのに、こんなにも弱いの。

もっと、決断できていればよかった。

妊娠を知ったその瞬間に、すぐ国外へ出て、残りのことはあとで片づければ――。

……でも、今さら考えたところで意味はない。

男の、張りつめて血の気の引いた顔を見て、末永言葉はまた一歩、距離を取った。

「深沢承弦……お願いだから、私から離れて。もう、私の生活に入ってこないで」

何度言っても、彼には事の深刻さが伝わらないのだろう。

刃...

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