第103章

片桐景真が去ってから、末永言葉はようやく、まだ聞きそびれていたことが一つあるのを思い出した。

上杉玉夫がSHに来て講演をする――その件だ。

具体的にどういう段取りになっているのか、まだ何も把握できていない。

新谷音鈴が席に腰を下ろしたとき、末永言葉はそこで初めて気づいた。

音鈴が持ってきた昼食は二人分。しかも、どれも言葉の好物ばかりだった。

「おかず、もうあんまり残ってなかったから……先に言葉さんの分も取ってきちゃった。あとで無くなったら困るかなって」

新谷音鈴は俯きがちに、少し気まずそうに続ける。

「勝手に決めちゃって、ごめんなさい」

末永言葉は思わず笑ってしまった。

「...

ログインして続きを読む