第108章

末永言葉の口ぶりを聞けば分かる。この子は、まだ信じていない。

片桐景真は彼女のことをよく知っていた。

信じていないのは「朗報」じゃない。信じられないのは――自分自身だ。

深沢承弦と過ごした三年が、彼女の自信を根こそぎ削り取ってしまったのだろう。

価値を否定され続ける環境にいれば、立ち上がろうとしても、知らず知らずのうちに心は折れていく。

「言葉」

片桐景真は笑みを薄めた。代わりに浮かんだのは、彼女が久しく見ていなかった真剣な顔。

「ずっと言いたかったことがある」

ただ、離婚した直後から事故が重なり、ほどなくして流産までして、さらに最近は深沢承弦とも連絡が途絶えていて――彼自身...

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