第111章

初めてのデザインだったから、末永言葉は細部まで鮮明に覚えている。

当時の彼女は、今ほど名が知られていなかった。作品も学内でそれなりに評判になる程度で、服飾のデザイン画は指導教官の手を経て版権が売られ、量産に回されることもあった。完成品の売れ行きは悪くない。けれど、爆発的に当たるほどでもない。

そんな彼女のもとへ、なぜかジュエリーデザインの依頼が舞い込んだ。

どうして宝飾の世界の人間が自分に声をかけたのか、理由は分からない。だが、挑戦できる機会であることは確かだった。単価が高くなくても、末永言葉は必死で宝飾デザインの知識を詰め込み、何度も徹夜を重ねて、ようやく一式揃ったデザイン稿を仕上げ...

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