第112章

そのとき末永言葉は、男が何を考えているのかなど知る由もなかった。

彼女にとってその件は、あまりに昔の話だ。しかも当時、報酬は受け取っている。取り決めどおり、取引は滞りなく完了していた。

依頼主と牧野亥の関係がどうであれ――彼女に何の関係がある?

悔やむとすれば、結局は金のことと、四年前に牧野グループと組めたかもしれない機会を逃したこと。それだけだ。

あれこれ考えた末、末永言葉はもう深追いしないと決めた。

「牧野社長、もう遅いです。お仕事の話をするとおっしゃってましたけど、まだ始まっていませんよね」

話……話すも何も、今さら何をだ。

このデザインがこれだけ売れている以上、末永言葉...

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