第118章

「人を呼ぶだけなら、電話一本で済むじゃない」

義姉さんが兄さんの怪我を知ったら、きっとすぐ駆けつけてくる。

けれど深沢承弦の反応は、新谷音鈴にとって意外で――理解しがたいものだった。

彼は毛布をめくり、ベッドから降りようとしていた。なのに、ふっと動きを止めると、そのまま腰を下ろし直す。

「……兄さん?」

音鈴は深く考えなかった。脚を痛めていることを今さら思い出して、無理をやめただけだろう、と。

「今の、聞いてた?」

返ってくるはずの反応がない。それが音鈴を妙に焦らせた。

義姉さんのことを、あんなに大事にしている兄さんが――こんなに静かでいいはずがない。まるで、どうでもいいと言...

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